眠れない夜に、ヨガのちからを

ヨガマットの上でシャヴァーサナのポーズを取る女性と、満天の星空に浮かぶ満月 健康
夜空の静けさに包まれたヨガタイム──満月の下で深いリラックスへ

一日の終わり、ベッドに入ってもなかなか寝つけない──そんな経験はありませんか?ストレスの多い仕事、夕方以降のスマホ時間、そして運動不足。現代のライフスタイルは、私たちの“眠る力”を静かに奪っているのかもしれません。

そんなときに頼りになるのが「夜のヨガ」。朝のエクササイズとは違い、夜のヨガは「頑張る」ためではなく、「緩める」ためのものです。固くなった筋肉やこわばった神経をほぐし、副交感神経を優位にして、心と体を“おやすみモード”へと導いてくれます。

この記事では、寝る前におすすめのヨガポーズを5つ厳選してご紹介します。どれも特別な柔軟性や道具は不要。呼吸を感じながら、緩やかに動くことで、自然と深い眠りに近づいていける内容です。

夜のリラックスを深めるヨガポーズ5選

夜の時間帯に取り入れることで、心と体を静かに整えてくれる5つのヨガポーズをご紹介します。無理に伸ばしたり、頑張って形を整えたりする必要はありません。ただ、呼吸とともに体を感じる。それだけで十分に“休息のスイッチ”が入ります。

仰向け合せきのポーズ(スプタ・バッダ・コーナーサナ)

仰向け合せきのポーズをとった女性

両足の裏を合わせて仰向けに寝るこのポーズは、胸を開いて呼吸を深める効果があります。股関節周りをゆるめることで、日中に無意識にため込んでいた緊張をやさしく解放してくれます。

特に、デスクワークやスマホの使用で前かがみ姿勢が続いた方におすすめ。胸が開くことで呼吸が自然と深くなり、自律神経も整いやすくなります。

🟡 気づき:「思った以上に体が縮こまっていた」ことに気づくきっかけになります。リラックスとは、ただ“脱力”することだけではないのです。

※股関節に違和感がある方は、太もも下にクッションやブロックを入れると快適です。

チャイルドポーズ(バラーサナ)

チャイルドポーズの女性

正座の状態から上体を前に倒し、額を床につけるこのポーズは、背中全体と腰をゆるめる効果があります。ポーズの形が胎児を連想させることから、深い安心感や守られている感覚を得られやすいのが特徴です。

心が落ち着かない夜、不安や思考が止まらないときに取り入れることで、静けさを取り戻しやすくなります。

🟡 気づき:「安心感が足りていなかった」ことに気づく。体を小さく丸めることで、無意識の防御反応がゆるむのを感じられます。

※ひざや足首に違和感がある場合は、タオルを挟むなど調整しましょう。

レッグアップ・ザ・ウォール(ヴィパリタ・カラニ)

レッグアップ・ザ・ウォールをする女性。

仰向けの状態で壁に脚を立てかけるこのポーズは、血液やリンパの循環を助け、むくみの解消や脚の疲労回復に効果的です。

脚が重だるい、夕方になると足首がパンパン、そんな方には特におすすめ。足を高く上げることで、重力の助けを借りて血流が自然に心臓へ戻ります。

🟡 気づき:「脚の疲れやむくみが、睡眠の質に影響していた」ことに気づく。体の末端から整えていく心地よさを感じましょう。

※腰の下にクッションを入れると、よりリラックスしやすくなります。

仰向けツイスト

仰向けツイストをする女性
仰向けツイスト

仰向けに寝た状態で、両ひざを左右どちらかに倒すポーズです。背骨をやさしくねじることで、背中や腰回りの緊張をゆるめ、自律神経の調整にもつながります。

内臓がほどよく刺激されることで、消化を助けたり、内側から温まる感覚を得やすくなります。

🟡 気づき:「左右で体の硬さが違う」「こっちは伸びにくい」といった小さな気づきが、自分の体と向き合うきっかけに。

※首や腰に痛みがある場合は無理せず、ねじりの角度を浅くしましょう。

屍のポーズ(シャヴァーサナ)

屍のポーズをする女性
屍のポーズ

ヨガの最後に行うこのポーズは、ただ仰向けに寝て、全身の力を抜く“完全なる休息”の時間です。何も考えず、ただ呼吸と重力に身をまかせることが目的です。

脳の活動も静まり、交感神経が沈静化されることで、自然と眠気が訪れやすくなります。眠りの質を上げる「脳のクールダウン」に最適です。

🟡 気づき:「何もしないって難しい。でも心地いい」。現代人にとって最も必要な“手放す”感覚を練習できるポーズです。

※寒さを感じる場合はブランケットをかけて快適に保ちましょう。

このヨガルーティンがもたらす変化とは

夜にヨガを取り入れることで、多くの人が「寝つきがよくなった」「夜中に目が覚めにくくなった」「朝の目覚めが軽くなった」といった変化を感じています。これは、単なるリラックス効果だけではなく、神経系に働きかけて“睡眠の準備”を整えているからです。

実際、いくつかの研究では、就寝前に穏やかなヨガを行うことで睡眠の質が向上したという報告があります。特に副交感神経が優位になることにより、心拍数や血圧が低下し、体温もゆるやかに下がっていき、自然な眠気を促す状態に入っていきます。

そして重要なのが「繰り返し」。毎晩同じポーズをとることで、自律神経がそれを“眠るための合図”として学習していきます。これはいわば、自分自身の「スリープスイッチ」をつくるようなものです。

ヨガによってつくられるこの静かな時間が、1日の終わりを整え、翌朝の爽快感へとつながっていきます。


快眠の鍵は「毎晩同じ時間・同じ動き」

ヨガの効果を最大限に引き出すためには、「いつも同じ時間に」「同じ動きで」行うことが大切です。これは神経系にとっての“予測可能性”を高めることにつながり、脳が「今はリラックスしていい時間だ」と認識しやすくなるからです。

全てのポーズをやらなくても構いません。気分や時間に合わせて、3つだけ選んでやるのも立派なルーティン。大切なのは、毎晩「同じ順番・同じ呼吸」で続けることです。

その積み重ねが、眠る前の儀式となり、自律神経と心の静けさを自然と整えてくれるのです。

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